運び屋

なるべく旅を続けたい。
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四国遍路 Shikoku Henro Day-02-002


四国遍路 Shikoku Henro Day-02-002

ベテランへんろ 貼るカイロ

日没は6時くらいだから、柳水庵までいけるかどうかくらいかな?あまり食糧を持っていないようなので、お菓子と紅茶や砂糖なんかをお接待する。入りきらな かったのか、卵焼き用の四角い小さなフライパンがザックからぶら下がっているのと、登りと下りで靴を履き替えているという作戦が面白かった。

納経所の方に「鴨の湯」という、自治体が運営する日帰り湯に付随した善根宿を教えて頂き、本日はそこにお世話になることにする。鴨の湯には16時15分の到着。

お湯に浸かりながら、朝から夕方まで歩き続けた一日を振り返り、こんなことを40日も続けるのか、と少々クラクラする。昨晩一緒だった躁鬱病のおっちゃん が、今どこを歩きどんな表情をしているのか、ウルトラハイテンションなのか、自分の受け答えは、正しかったのか。。。なんてことが頭に浮かんでは消える。

そんな気持ちをよそに、常連さんらしい地元のオジサン同志の会話は、板東英二なノリで、賑やか。

鴨の湯の善根宿は、畳敷きの3人雑魚寝部屋と2人雑魚寝部屋、自転車置き場を緊急用に利用して更に2人、都合7人の夜明かしが可能だけれど、本日は4月1 日スタート組が多いからか、本日宿を求めたのは自分を含め6人。年配の歩き遍路のご夫婦、埼玉からのお坊さん、北海道からの定年退職系お遍路さん、もう鴨 の湯泊が15度目というHさん。きさくなHさんのしきりで、自分は自転車置き場のシングルルーム泊となった。

職業遍路には気をつけろ!という先入観や偏見があった自分は、そのHさんの熟れたしきり、達観気味な語り口に「あ、これが噂の職業遍路か!」と、警戒してしまう。が、話すにつれ、四国を愛してやまないどちらかというと宿泊まり遍路さんだということを知り、話は弾んだ。

朝の早いお遍路は、早めのお開きが暗黙の了解なのだけど、寝袋に使い捨てカイロ(貼れるもの)を放り込んで寒さを凌ぐやり口やら、直近のオススメルートをパパパと教えて下さる。

雨の焼山寺越えを前にして、荷物の一部を徳島市内に先送りしようとする自分には、

「山を下りたが楽だから、トレーニングだと思って、全部担いで山越えしなよ」

というアドバイスをくれた。カイロ作戦とこのアドバイスに従った成果に、この後幾度となく助けられる。

でも、何故か煩悩ベタベタな話にもなり、

「うーん、黒木瞳みたいな遍路がいたらどうしよう。。」

「あ、そんなのがいたら多分狐が化けた奴ですよ、朝起きたら素っ裸になって木のうろに何か突っ込んだりして、地元の人に馬鹿にされますよ」

なんてやり合う。

俗世に肩書きやらを置いてきたお遍路さんとお遍路さん。長幼の序と先輩後輩に多少引っ張られるとはいえ、無味乾燥な世間話の交換やら、腹の探り合い無しに、馬鹿話やら濃密な話になってゆく。



歩き終えてから食事をとり、9時前には消灯してしまうお遍路さんだけれど、夕飯時の短い遍路仲間との時間は濃い。

あ、そういえば自転車をお借りしでかけた、山越えの食糧の買い出しがてら、体が重くならない程度に、鴨島の国道沿いで回転寿司を頬張った。その帰り道、明日の朝登る山の方角を眺めると、山中にほのかな灯り。

藤井寺で別れた四角いフライパンの若者が、山中で煮炊きしてる灯りか。。。なんて思う。

寝袋に入ると、隣の部屋からHさんと埼玉のお坊さんの会話がこぼれてくる。個人的で人生やお遍路の芯の部分のやり取りなので、ここには書き留めないけれ ど、Hさんが十数年前、初めて四国を歩き終えて感じたこと、何度も歩いてたどり着いたHさんなりの境地が、Hさんが接待して下さったカイロの暖かみと共 に、じんわり染み入る。

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防水バッグに全て詰め込み、雨の備えも万全。

さて、徳島に戻ってきた自分は何を感じているのか?そもそも自分は戻ってこれるのか?なんて考えてしまう。

二人の会話が途切れて間もなく、こちらの意識もスススと薄れた。



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初日、2日目は設定をミスり、うまくログ取りできませんでした。

2日目   

歩行距離 / 約24.7Km    地蔵寺近くの善根宿から大日寺に戻り 〜    藤井寺近くの鴨の湯   

お寺 / 4,6,7,8,9,10,11    大日寺    安楽寺    十楽寺    熊谷寺    法輪寺    切幡寺    藤井寺

お遍路旅の詳細はあらためて。。。


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四国遍路 Shikoku Henro Day-02-001
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四国遍路 Shikoku Henro Day-02-001

前のめり系ウォームアップ

禁煙の善根宿で煙草を吹かしたおっちゃんと、少々煙たい善根宿の空気に辟易としつつ寝袋からは出し身支度。お世話になった善根宿は五番札所と六番札所のルート上にあるため、納経用品と貴重品だけを手にし荷物の大半を宿に置いて行く。ほとんど寝ずに携帯をいじり続けていたというおっちゃんに会釈し、昨日打ち漏らしてしまった四番札所大日寺に向かう。

高松自動車道をくぐり、里山に分け入るような道を進んで行くと大日寺。納経し、納経所に向かうと丁度午前7時過ぎ、墨書と御朱印の受付が始まるだった。

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先日打ち終えていた五番札所地蔵寺を経由して善根宿に戻り、残りの荷物を担ぐ。昨晩の話でおっちゃんは、自分同様、十一番札所藤井寺辺りまで行きたいとのことだったけれど、どうもノンビリしていて無理じゃないのかなぁと思う。「お先に」とお声がけし六番札所に向かう。

六番札所の安楽寺は善根宿から5キロ程度。白と赤の山門と境内の茅葺きの建物がアンバランスに感じる。束の間の芦安眼をしつつ、歩き遍路の女性と言葉を交わす。9時半頃出発。続いて七番札所十楽寺。このお寺も下半分が白いコンクリの山門。少しずつ納経の流れ、お遍路の作法にも慣れてくる。10時前に出発。

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県道をそれ、集落と集落をつなぐのんびりとした道を熊谷寺に向かう。土御門上皇行宮があった土地の名残で、「御所」という地名を過ぎる。近くには御所の郷と名付けられた日帰り温泉もあるようだ。

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南の仁王門から参道を進み、八番札所熊谷寺に10時45分頃到着。「くまがいじ」と関東育ちの自分は読んでしまいそうだけれど、「くまだにじ」と読む。スピーカーで音楽やらお言葉が流れているのにはクエスチョンマークだったけれど、吉野川の平野が徐々に傾斜してゆく山際のため池や木々が調和し、気持ちのよい境内だった。

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納経を済ませ、本堂と大師堂に戻って写真を撮る。ベンチに腰掛け休憩していると、先ほど安楽寺でお会いした女性が次の札所に向かって行った。

11時半少し前に八番札所熊谷寺を出発。立派な仁王門の前で咲き誇る白い花が美しい。

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現在、阿波市となったこのあたりは、平成の大合併以前は土成町という名前。日本地名大辞典の記載では「土成村誌」に「本村古時所属郷名称ナラズ、土人伝云フ古時城村ト称ス、後文字ヲ割キ土成と改称ス」とあるが、未詳とのことだった。なるほど。

元々、「城」という地名で、それを「土」と「成」に分け、土成か。

城という言葉の成り立ちは、「土で成るから」という説があるようだけど、中国の古い文字まで遡ると、そんなに簡単な話でもないような気がしていた。この辺りは城馬鹿としても立ち止まって一度考えてから、城馬鹿を深めるべきかな。。とも思う。まあいい、先に進もう。

へんろみちの道しるべを辿りながら、広々と田畑が広がる場所に出て歩いているとすぐに九番札所法輪寺。先ほどの女性に追いつき、今日はどの札所まで行くのかなどという話をする。ま、お遍路さん同士の会話は、たいていそういったものになる。女性は次の切幡寺で一旦、お休みだそうで、回数は話さなかったけれど、何度目かのお遍路のようだった。

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九番札所は、さっぱりした納経所と、近所のご家族連れと挨拶しつつ立派な山門をくぐり拝礼したことが記憶に残る。12時15分くらいに出発。団子屋さんがお寺の向かいにあるけれど、立ち寄らずに十番札所切幡寺に向かう。

へんろ地図によると、熊谷寺同様、切幡寺は少し山に分け入った地勢に位置している様子。そんな十番札所を目指し、ほっそりした田舎道を歩いていると「秋月城跡」の石碑。

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背後の山に曲輪でもあるのかと思ったけれど、石碑やネットで調べる限りではなかなかの中世城郭で、細川氏が勝瑞に拠点を移すまでの阿波の拠点だったそうだ。背後の丘陵地から広がる扇状地に築かれたようで、小さな池や川に要害を頼んだ平城といったところ。城の概要や縄張りまで記した親切な案内板が無く、時計を気にしながら歩いているお遍路中の身としては、お城の曲輪の一画であったと思われる削平された墓地、チロチロと流れる川を撮影するのみ。徳島の中世城郭としては有数のものだそうで、ちょっと残念。

次は、お寺でなく、自薦で四国八十八城巡りでもするか。徳島一県だけで、300以上、城郭城館跡があり、四国では1,200以上にはなる、そのなかから上位7パーセントの八十八を厳選するのだから、なかなか悪くないものになりそうだなぁ。一人で設定して、一人で廻ってみようか。。。ぶつぶつぶつ。。。。。

っていうか、まだ歩き出して30キロにも満たないはず。少なくとも高知までたどり着いて能書きは並べることにしよう。煩悩というより、雑念となかなか決別できない。

そこから少し歩くと、ささやかな門前町といった家並み。その集落を抜け、坂道を上って現れた山門をくぐり、ようやく見えてきた長い石段を登りきると十番札所切幡寺の本堂と大師堂。先ほどの女性がおり、また言葉を交わす。今日はここで打ち止めにして、ゆっくり鴨島方面まで歩いてそこの宿に泊まるそうだ。明日の天気が心配なので、場合によっては難所である十二番札所焼山寺は明後日にするかもしれないとのこと。なるほど。

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納経を終え、大塔と更にその上の小さな奥の院を見物して、焼山寺越えはこんなもんじゃないだろうなぁと思いながら石段を下りる。お地蔵堂の裏に放り込んでおいたバックパックを再び担ぎ上げていると、親子のような女性の二人組。へんろ地図の方角と、地図と地図とのつなぎに慣れていないようなので、

「矢印に従って、南を目指し、吉野川に向かえばいいと思います。」

と伝える。頼りにされるとアッサリし、ただ適当に相槌を打ってくれればいいくらいな時に、有り得ないくらい100%の回答を差し上げる。。という、女性にもてない典型的な対応。うーん、アドバイスになったかな?ならなかったかな?

時刻は13時半。

十一番札所の藤井寺まで9.3キロとのことなので、昨日の遅れを取り戻しつつ、遍路三日目の目安である、朝からの焼山寺アタックはなんとかなるなぁと胸をなで下ろしながら歩き、14時過ぎに吉野川の1本目の沈下橋を渡る。長い畝が伸びる畑が広がっている。吉野川の中州で、もう一度吉野川を越えるようだ。

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この吉野川越えと中州の道は、距離にして2キロ程なのだけれど、畑がひたすら続き、その為か荷物が重く感じられ、自分が歩いているスピードが遅く感じられる。中州の道で何人かお遍路さんを追い抜いたけれど、皆さんも疲労の度合いがここで高まっているように、表情を見て感じた。

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ま、辛いことも無限には続かない。

ようやく感はあるものの、中州と吉野川南岸を結ぶ川島橋にたどり着き、澄み切った力強い流量の吉野川本流しばし心を奪われつつ、吉野川渡河完了。桜にはもう少しだけれど、菜の花畑が満開で美しかった。

吉野川を越えてから、十一番札所藤井寺までは5キロも無く、たいした坂もないのだけれど、吉野川とその中州越えで失った気力体力の消費からか、どうも長く感じられる。

それだけでなく、明日の難所を控えての憂鬱、疲れ、退屈しのぎの出来るコンビニが切幡寺から藤井寺までのルートがなかったりと。。。ちょっとこの5キロは踏ん張りどころかもしれない。

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15時半、藤井寺に到着。納経を済ませ、隣のベンチに腰掛けた若い男性と話すと、大学生とのことだった。これから一休みして、藤井寺脇から焼山寺に向けて山に分け入るそうだ。

日没は6時くらいだから、柳水庵までいけるかどうかくらいかな?あまり食糧を持っていないようなので、お菓子と紅茶や砂糖なんかをお接待する。入りきらなかったのか、卵焼き用の四角い小さなフライパンがザックからぶら下がっているのと、登りと下りで靴を履き替えているという作戦が面白かった。





納経所の方に「鴨の湯」という、自治体が運営する日帰り湯に付随した善根宿を教えて頂き、本日はそこにお世話になることにする。鴨の湯には16時15分の到着。

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四国遍路 Shikoku Henro Day-01-002
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四国遍路 Shikoku Henro Day-01-002

濃い日々、1200キロの道の始まり

デパートの玄関を出るまでお爺さんを見送り、こちらは反対の出口から駅に向かう。力が漲る。「四国凄いな」と何度か呟いた。

一両編成のワンマン普通列車で板東駅に到着。列車の中の山歩き風な恰好の男性や、まんま白装束の遍路姿の方々と一緒にホームに降り立つ。その方達と前後に少し間隔を置きつつ、霊山寺に向かう。

山門手前のお遍路用品店で、一つ一つのイイお値段に心の中で舌打ちしつつも、身なりを揃える。100円ショップなどで準備していたものもあったけれど、さっそく13,200円の出費。

白装束に杖姿となって、ようやく山門をくぐる。一番目札所、霊山寺。

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事前に用意しておいた、巡拝の作法と順序の紙切れをチラ見しつつ、ぎこちなく、納経する。出発に先立って濃い話をした友人、図書館でお会いしたお爺さんの顔が浮かぶ。

本堂脇の納経所で、納経帳に黒書と御朱印を頂く。黒書を書いてくださったお尼僧さんと、言葉を交わす。俗な言い方で申し訳ないのだけど、なんとも懐が広い方だった。元気に楽しんでお遍路してくださいといった言葉を頂く。

茶菓を接待して頂きながら、随分ゆっくりとした出立となってしまった一日目と、今日はどこまで進めるのかなどと考える。一息つき、お礼をして出発。山門前でお声がけして写真に撮って頂く。時間は午後2時を少し回っていた。

右手(北)にもこもことした山、左手(南)に吉野川に向けて開けた平野といった景色の中を伸びる県道12号を西に向かう。第一次大戦の独軍の捕虜収容所関連の公園施設の看板がある、この辺りには分かりやすい観光地だけでなく、勝瑞城の支城なんかがある筈で、立ち寄りたい位なのだけど、本日はいろいろあって大幅な遅刻。寄り道は無し。新品の金剛杖でリズムをとりながら二番札所、金泉寺にたどり着く。

納経を済ませ、本堂からの石段を下りながらへんろ地図を読んでいると、団体客のお遍路専門ガイドの、先達と呼ばれる方に「気をつけて下りなさいよ」とたしなみ気味に声をかけられる。ま、ここですっころんで前を下りる団体客を巻き添えにしたらタダでは済まないな。と思い、素直に地図を閉じる。

日曜日ということもあって、金泉寺は一番札所同様賑やか。山門前に大型バスが停車する駐車スペースがあり、バスやタクシーの運転手の力が入っていない感じと、にわか仕込みのできたてホヤホヤの少し肩に力が入り,時計を気にする自分がなんともアンバランス。14時50分に二番札所金泉寺を後にする。

ここからの道は、県道をそれてノンビリとした旧道となる。最後の200メートルくらいがあぜ道になり、近道をするようにして三番札所極楽寺。

納経をしていると、大師堂で団体客のオバサンに声をかけられる。

「若いのに偉いわねぇ」

「いや、それほど若くないんですよ」と、用意していた言葉を返す。

「歩いて廻っているの?」

「廻っているといっても、始まってまだ1時間とかですから。」

「もーう、触らせて」

といきなり手を握られる。オバサンは年の頃50代半ばといったところか。20歳年上といったところか?

自分が20歳年下の女の子を一方的に触ったら、その日からしばらく家に帰れない。。。なんて考えた。

納経所に向かうと、この時間では次の四番札所での納経は時間的に厳しいので、先に五番札所に向かうよう助言され、そこから程ない善根宿を紹介され、遍路地図に印をつけて頂く。

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へんろみちの道しるべを途中まで頼りにし、道をそれ五番札所地蔵寺方面に道をそれる。五百羅漢に到着。五番札所地蔵寺まで時間的に余裕がありそうなので、羅漢を眺めて廻る。

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五百羅漢からから石段を下り、傾いた陽の差す五番札所、ひとけの無い、地蔵寺にたどり着く。荷物をベンチに降ろしてから、必要なだけの納め札や蝋燭なんかを手にし、ゆっくりと本堂と大師堂でお経を上げる。5時直前に納経所。5時を過ぎた地蔵寺はタダでさえ静かな部屋で、ブレーカーを落としたようになる。音がせず人もおらず静かだ。境内の空海像に向かい合うベンチで小休止。

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間一髪で納経が間に合わなかった歩き遍路の方と目礼を交わし、地蔵寺を後にする。午後5時15分。五時半過ぎには県道沿いの善根宿にたどり着き、羅漢の信号のローソンで飲み物などを買い入れる。夕日が美しい。

善根宿に戻っても同宿の方がいない様子なので素っ裸になって着替え、ホテルで食べ損ねた朝食のおにぎりを喰らう。久方ぶりに広げたマットと寝袋の寝床に入り込む。明日は打ち損ねた四番札所に少し逆戻りだけれど、大きく道を間違えたりしなければ十一番札所藤井寺にたどり着けるだろう。と地図を見ながら確認。

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電気を落とし、ウトウトしていると。。

ガラガラーと、プレハブ仕立ての宿のドアが夜の8時頃に開かれる。そこにはザックを担いだ退職後に遍路に出ました!な年齢の方。が、テンションが半端無い、というかおかしい。いきなり

「ハローハローハロー」

「いえぁ、はわゆ」と自分。

「あああ、アイケムフロム九州。すたーとツデー、君!ガイジン?」

とかなんとか。

歩き遍路には変わり者も少なくないと聞くけど、いきなり1泊目の同宿人がこんな奴か、と呆れるような笑ってしまうような、ワクワクするような気持ちが三つどもえ。初対面のテンションでは、相手にやりこめられるよりも、相手を引かせたりしてしまうタイプだけど、上には上がいるなぁ。

聞いてもいないのに、仕事を退職してからお遍路に出るまで、初日の遍路旅のアレコレを捲し立てられ最後、豪放磊落に、

「僕、躁鬱病なんですよ!で、いまが躁のど真ん中!テンション上がると英語が止まらなくなっちゃって。」

だって。

名刺代わりにお互いぎこちなく、納め札を交換すると、納め札の願意は「心の病気が治りますように」

一人の夜を破られた不快感や、病気への同情より、あと20年くらいしたら彼のように自分もなるのかなぁ、などと電話をかけ、宿に入るなり自分に捲し立てたことを、あらためて電話口の向こうの誰かに繰り返すおっちゃんの姿を見ながら思っていた。

電話を終え、翌朝のために自分が用意していた準備していたビタミン剤やらを見つけるなり。

「あ!お仲間!」だって。

「遍路仲間ではあるけど、躁鬱病仲間じゃ無いっすよ。」

と返す。

その後は旅に出ても、僕は九州なので、お酒が止められないんですよとか、どのくらいの日程でお遍路するのか、なんていう会話。断ってからおっちゃんのための寝るスペースを作り直して改めて就寝。

さすがに10時には消灯としたので、思いの外、眠ることが出来たけれど、ふと目が覚めた深夜、おっちゃんは煙草を吸いつつ、携帯で何やらひたすらメールを打ち込んでいた。

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1日目   

歩行距離 / 約8.9Km    霊山寺 〜    地蔵寺近くの善根宿

お寺 / 1,2,3,5    霊山寺    極楽寺    金泉寺     地蔵寺
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四国遍路 Shikoku Henro Day-01-001
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四国遍路 Shikoku Henro Day-01-001

今の気持ちを忘れずになのだ

早めに起床し、まずは徳島に戻ってきてからピックアップする荷物と、今日から担ぐ荷物に分別して一休み、荷物をフロントに預け、徳島市内のアウトドアショップに向かう。何度か運河を越え、ホテルに戻って荷物をピックアップ。10時を大きく過ぎてしまったことにあせりつつ徳島駅に向かう。

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高松行きの11時過ぎの普通列車は出発したばかりのようで、次は1時間後の12時16分発。ぬご!列車が少ない!軽めの四国な洗礼を受けつつ、駅前のそごうの5,6階が図書館になっているようなので、そこで時間を潰そうと向かう。

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が、なんと本日が開館日。

開館セレモニーが行われ、招待客のみが施設の案内をされている。地元局の取材なんかもあって賑わっている様子だけれど、一般の方の入場は12時からとのことだった。

アウトドアショップまでそこそこ距離があったり、列車を逃したり、図書館に入れなかったり、お遍路を始める前から思うようになかなかことが運ばない。

荷物を背負って自分と同じく退却する方々とエレベーターで下りていると、お爺さんに声をかけられる。

「お兄さん、そんな大荷物で山でもいくんかい?」

「いや、今日からお遍路なんですよ。」と自分。

「そうかい、それはご苦労さんだな。歩きかな?」

「はい、そうです。」と自分。

エレベーターを2階でいっしょに下り、エレベーター乗り場の脇で話を続ける。

そのお爺さんはどうやら、歩きでお遍路をしたことがある上、今でも徳島近辺の寺に参詣することがあるそうで、御年を越えているのにも関わらず、札所の説明が具体的なうえ、言葉にも力がある。

これから数日内に訪れる難所であろう焼山寺、その後の高知の難所のことなどを話してくれる。そしてアドバイスやら。焼山寺までの山道で、無縁仏が沢山道の脇にあるから、気がついたら手を合わせてやりなさいなど。

別れ際、

「今、あなたはお遍路に旅立つけれど、この発心して旅立つ、今のその胸のうち、その気持ちが一番大事だ。発心したその気持ちを忘れちゃいかん。お遍路はグルグル何度も回ったりするものではない、今の気持ちを忘れずに最後まで頑張りなさい。」

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と、自分の胸を指さしつつ、上の言葉を徳島の言葉で激励される。

最後の会話の中でお爺さんが力を込めた「発心」という言葉が刺さる。自分なりに「発心」してから、実際に今日こうして歩き始めるまで、過去未来現在の自分をボンヤリ考えていたこと、迷いつつも四国を前にしてテンションが上がっていったことなんかを忘れず、お爺さんの言葉を四国を一周し、持って帰ろうと決心する。
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四国遍路 Shikoku Henro Day-00
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羽田空港で時間があったので、荷物を広げてみた。

四国遍路 Shikoku Henro Day-00

3月31日は土曜日で、高校時代に通った中華料理屋で当時の同級生と集まった。ビールで脂っこい中華料理をタップリ流し込んだ上で、「がんばれよお」と駅で見送られ、羽田空港へ。

7時過ぎの羽田発の全日空便は、風の影響で少々遅れて徳島阿波おどり空港に到着した。

荷物を引き取りに向かうと、50L位の真新しいザックをターンテーブルから引っ張り上げる女の子がいたので、お遍路さんかな?と思ったりする。徳島駅にはシャトルバスで向かう。

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ラブホテルやら、どっかで見たことのあるようなマンション、コンビニな景色に、まあ徳島だってこんなもんだよなと思いつつ、吉野川を越える大きな橋を渡っていると、広い河面に灯りで、何かを捕っている様子。

ラブホテルやらマンションやコンビニなんかの町の明かりが両岸でキラキラしている県庁所在地の河面で、漁が行われていることに感動する。ネットで調べると、シラスウナギが遡上してくるところを捕まえているシーズン中。そういえばシラスウナギの価格が高騰していることを伊集院がラジオで喋っていたなぁ。

そんなことを考えているうちに、JR徳島駅のロータリーに到着。繁華街から離れているのか、駅前は揺ったりしているわりにひっそりとしており、吉野川のシラスウナギ漁の景色の方が賑やかなくらい。

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満喫泊も考えたけれど、結局駅近の東横インに投宿。期待はさほど大きくないが、さっさと歩き始めたいのに、出発前にカートリッジ式のガスボンベをアウトドアショップで買わなければならず、明日は何番のお寺まで回れるのか、そこで野宿場所か宿を見つけることができるのか?なんておもっているうちに寝てしまった。
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