サルタからウユニへ / Salta to Uyuni
短くて忙しない上に、以前のルートを逆に辿るようなウユニ行。
昨日の酒は残っている上、高山病で倒れた前回のボリビアの恐怖もある。急いだ日程にし、リマからウユニに向かうルート上、チチカカ湖辺りからボンヤリし始め、ラパス→ウユニの段階で激烈となり、精魂尽きてしまったことが嫌でも思い返される。あの頭痛は酷かった。あれは繰り返したくない。
が、なんとなくサルタで一泊するのも、フフイまで進むのもなんだか億劫になり、バスだけは夜行のラキアカ行きを買ってしまう。もう腹を決め、出発まで久方ぶりのアルゼンチンの田舎を楽しむことにする。
さて、サルタ。標高は1,000メートル。アンデスの重畳たる山並みが尽き、パンパが始まる場所に位置している。
時計に例えると、7時から1時くらいまで、アンデスが迫っているような場所で、西の峠を越えるとチリのカラマ、真北に分け入って行くと、ボリビア高原。そんな場所に位置しているからか、インディヘナの血が濃いめで、どことなくノンビリしている。
出発まではまだ5時間以上。ターミナルに体育座りして、膝小僧をペロペロなめていても仕方がないので、荷物を預け、中心部に向かう。機内放送で流れていたレストランで景気付けアサードだ!と思ったけれど、「どうぞ!」なんて言われるまま、にっこり客引きされてしまい適当なレストランに入る。上野山荘のアサードには遠く及ばないが、旨い。
腹ごなしと、消費し切れない時間を潰すため、今度はターミナル近くのカフェにて、カフェコンレチェ。
ビールを飲みながら何やら話す熟年夫婦や、長旅を前に、大きな荷物を横に置き、ピザを囲む家族なんかが出たり入ったりする。テレビでは、「生きてこそ」が上映中。テープが千切れるほど見た映画だけど、アルゼンチンのラグビーや、軍用機での飛行機旅、なんだかいろんなものが詰まっているなぁ。今夜からアンデスに突入するけど、大変なことになりませんように。
あ、映画はスペイン語に吹き替えられていた。ぐほ、一周してる。やっぱりスペイン語の方が、雰囲気出るなぁ。スペイン語はほとんど分からないけど。
夜中過ぎにバスは出発。冷えすぎて風邪なんてのが、バス旅行あるあるだけれど、フフイから乗客が乗り込んできたときに目が覚めるくらいで、6時間半くらいのバス旅は順調だった。
順調でないのはこの先の、アルゼンチン(ラキアカ/LaQuiaca)とボリビア(ヒヤソン/Villazon)の国境。2年前、逆ルートで越えたときは、ボリビア出国はスムーズ、アルゼンチン入国にやたらと時間がかかった印象があるけれど、今回はアルゼンチン出国も、ボリビア入国も長蛇の列。結局2つのポイントを抜けるのに3時間以上かかった。
気がつかないフリをしていたけれどやはり空気が薄い。国境付近は3,000メートルくらい。ボリビアの小僧共は駆け回っているけれど、ザックを担いで動き回るとすぐに疲れてしまうので、ウユニ行きのバスが出る午後3時までは、食事をしたり、公園でくつろいだり、音楽に誘われるまま、子供会に招待されたりして過ごす。
同じようにラパスやウユニ、ポトシを目指す旅行者がおもいおもいに出発までの時間を過ごしているけど、自分より楽そうだなぁ。ということで高度は上がったんだけど、テンションは下がってる。頭痛までは行かないけれど、頭も重くなってきた。うーん。
ウユニ行きは午後3時発、定刻通り。トラブルもなくウユニにはたどり着いたのだけれど、走れば走るほど頭が重くなって行く天国というより、地獄に近づいていくような9時間だった。
不幸中の幸い、というか嬉しかったことは、途中のツピツァ/Tupizaでボンヤリとしながら、旅行者達の写真を撮っていたら、その中の一人が自分のことをスケッチしていたこと。あとは、ウユニの宿がスムーズに見つかったうえ、24時間のATMがキッチリ100ドル紙幣を吐き出してくれたこと。そんくらい。
あ、宿も最後の一部屋に滑り込めた!