ムベヤ/MBEYA
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ダラダラという名の乗り合いバスで駅に向かう。昨日の夕方ザンビアのニューカピリムポシを発ったタンザン鉄道が、このムベヤの町を夕方に到着し、タンザニア最大の町ダルエスサラームへ夜行で向かうのだ。駅は町外れにあるのだけど、そこに向かう途中、「ジャパンダ」という日本の動物園で飼われているパンダのような名前の地名を通り過ぎる。ま、どうでもいいな。
ダラダラは、ダラダラというよりギュウギュウに人を詰め込んで走るのだけれど、車掌兼呼び子のお兄ちゃんが停車前に告げてくれる。乗車前にその場所を告げるか、停車場の地名を覚えておくと乗りやすい。
さて、駅前で下車。駅舎はイランや旧ソ連、中国(一昔前の)のそれに似ている。タンザン鉄道は中国の協力で建設された鉄道だから、駅舎の形はそれと無縁でないかもしれない。
発券ブースを探しに駅舎に入るとなんだか、人だかり。その輪の中でピンクのロングスカートが鮮やかな女性が黒板に何かを書いている。黒板を読んでみると。
「本日のザンビア-タンザニア鉄道は、事情があって運行の予定がありません、次の列車は月曜。。云々」
・・・・・。
キンキンこと、愛川欽也「ハイ、消えた!」タンザニア編、一発目。
欽「楽しみにしていた夜行列車の旅・・・・。ハイ、消えた!」
全く。。。泣きたい気分だぜ。
気を取り直して、宿に戻りネット屋で情報やらを整理した上で再度ダラダラに乗り、バスターミナルに向かう。荷物が多いので通常の倍額を払う。
日本から輸入したての中古車
バスターミナルに多数いるバス会社やその使い走りの情報を総合すると、タンザニアは夜間のバス運行が禁じられており、ムベヤからダルエスサラームまでのバスは午前のうちに出払ってしまったとのこと。
ただ、マラウィから直接ダルエスサラームに向かうマイクロバスなら夜を通して走ることも可能なので、そいつに乗ってみれば?と言われる。うちで発券してやるのこと。料金は35,000シリング。2,100円位か?
このおばちゃんと、ここでお会いするとは思わなかった。何度も言うが、ホテルの部屋のあの本は何とかしろ、まだおばちゃんの立志伝の方が良かったぞ。
少々高いと思うが仕方がない、そいつに乗ることにする。が、そのバスはどうもムベヤを通らず、マラウィからの道が、ザンビアとダルエスサラームを結ぶ街道とぶつかる「ジャンクション」で途中乗車する形式のモノらしく、バス停からまた荷物を持ってダラダラに乗り、そのジャンクションに向かう。頼もしいことに1人アシスタントをつけてくれる。金額が一切書かれていない切符を一応、発券して貰ったものの、発券した兄ちゃんが、発券プロセスを進める中、一切電話やらをかけたりしないのが気にかかる。
そのアシスタントは、自分をそのマイクロバスに乗せるのと同時に、自分が払った料金より少しでも安くマラウィからのバスの料金を叩き、利幅を稼ぐという二つのミッションを与えられたのだろうけど、まあその辺りは目をつぶることにしてやる。ダルエスサラームに着くのを先決にしたい。
マラウィまでは値段設定のハッキリしているバスで移動してきたので、ぼられようがなかったのだけど、タンザニアに入るとバスの料金があってないようなモノになる上に、適当な感じの切符売りが介在したりし、本来のバス料金が分かりにくく、なんとなく割増し料金をふっかけられているような気がする。そんな関わってくる連中が、「怪しい匂い抑えめ、フレンドリー度100%」に近づいてくるので、更にやりづらい。
ということで、この「フレンボリー」なアシスタントとジャンクションにたどり着き、バスを待つ。が、このジャンクションで屯している兄ちゃん(屯)とアシスタント(ア)の会話の雰囲気がどうもおかしい。雰囲気的に、かみ合っていないこんな会話をしている(ような気がする)。
ア「そろそろ、マラウィからのバスが来る頃だと思うのだけど?」
屯「オヨヨ?そのバスならもう行っちゃったYO!」
ア「そろそろ、マラウィからのバスが来る頃だと思うのだけど?」
屯「DA-KA-RA! そのバスならもう行っちゃったYO!」
欽「夜行バスの旅・・・・。ハイ、消えた!」
ア「そろそろ、マラウィ.......」
焦りの表情を隠せないアシスタントのお兄さんは、ぶつぶつ何かを呟きながら、トレーラーの運ちゃんやら、キャベツを満載したトラックの運転手に片端から声をかけ始める。オイオイ、オレと話しもせずにヒッチを始めるな。
運「バス行っちゃったんでしょ?」
ア「いや、僕は今ダルエスサラームへの・・・。」
運「もういいよ、一旦戻ろう。」
ーーーーーーーーーー
欽「明日の午前にダルエスサラームに入るの・・・。ハイ、消えた!」
欽「ダルエスから、ザンジバル行きの船に乗り、青い海が広がる
砂浜でチルアウト!・・・。ハイ、消えた!」
ということで、どんよりとした空気を引きずり、荷物を抱え、またもダラダラに乗ってバスターミナルに向かう。
バスターミナルに戻ったら戻ったで、料金を支払った兄ちゃんがいないやらで1時間以上待たされた上、ようやく現れた兄ちゃんにお決まりの抗議をして、ようやくマネーバック。まあ20ドルちょっとだけど。
いずれにせよ、荷物を抱えて袋小路!というのは疲れを増幅するのでバスターミナル近くの宿にチェックイン。もう一度ターミナルに戻ってダルエスサラーム行きのバスを探す。
アフリカの2-3列のバスの窮屈さにはうんざりなので、2-2列のバスを探すが、擦った揉んだの繰り返しで遅い時間になってしまい、どこのバス会社も満席。。で、唯一空席があった会社が、件のバス会社。3時間ほどの無駄骨を折ったことも折らせたこともすっぱり忘れたかのような笑顔でダルエスサラーム行き「フレンボリー」価格を提示してくる。
「お前ボッてるだろ、パッセンジャーマニフェストの他の乗客の値段の項
に、20,000シリングって書いてあるぞ?なんでオレだけ25,000なん
だよ!」
その時、兄ちゃんの笑顔が一瞬、引き攣るのを運び屋は見逃さなかったけれど、なんだかさっさと話しを終わらせたくなり、
「いいよ、次に来た日本人は絶対にボッたりするんじゃネーぞ!」
と軽く釘を刺し、気風の良い江戸っ子のごとく、さっと小さなオフィスをあとにする。
「ああ、あそこはやっぱりもう一踏ん張り抗議するべきだったかなぁ。」
「あんな所で格好つけたところで何にもならないのにになぁ。」
などと少し前のやり取りを振り返り、一向に上がらない自分の旅性能にウジウジ煩悶しながら、バスターミナルの一画で晩飯を胃袋に放り込んで本日の旅は終了。
前進無し。