ファカオフォ / Fakaofo
ファカオフォ / Fakaofo
夜が明けて甲板に出ると、千切れた芝生がポツリポツリ浮かぶように環礁が見える。35時間ちょっとの船旅は、島影一つ見なかった上に、大きなうねりにグワングワン揺らされてきたので、椰子の木がようやくへばりついているようなファカオフォ/Fakaofo環礁の見栄えは、非常に頼りない。島には高所といったものはなく、船が揺られているうねりの高低差より、遥かに低い。
船のマスコットキャラ。降りるぞー!
島に波止場はあるものの、リーフの切れ込みといった程度のもので、平底のボートがようやく入ることができるサイズ。朝8時過ぎにその波止場から貨物船サモアエクスプレス号に近づいてきたボートに、バビョンと飛び乗る。まずは乗客を島に運び、その後に必要物資なんかを運ぶ様子だ。
上陸するとさすがに陸酔いがしてフラフラする。船に乗っていっときより遥かに気持ち悪い。ボートにも同乗していた警察官の簡単な荷物チェックがあるけれど、ここではパスポートのチェックはなく、島に滞在するかしないかだけを聞かれたのみだった。
結局、あとからでパスポートスタンプは押されるのだけれど、葉書を買うため出航前に立ち寄った小さな庁舎で、切手と葉書を売ってくれた男性が、出入国の管理も兼務しているようで、「あ、そうだ、パスポートにスタンプを押さなければね!」なーんて言われ、押していただくことになるのだけれど。。
葉書に貼る「スタンプ/切手」も、切手を貼った葉書に押す「スタンプ/消印」も、パスポートに押す「スタンプ/出入国記録」も同じ机に転がっていて面白かった。
あ、話がそれた。
波止場を出ると、同じ船だったニュージーランド人教師がおり、彼は数学を島の先生の教える先生との事だった。彼が数週間滞在するゲストハウスのオーナー夫妻と彼に招かれる。ゲストハウスは波止場から見て島の反対に位置しているのだけど、このファカオフ環礁の中心となる島は本当に小さく、歩いて5分もかからない。ジョギングで島を一周するのにもやはり、5分もかからないとおもう。
ゲストハウスは礁湖側に面しており、波打ち際の透明な水がどんどん青みを増して群青になり、その向こうに途切れ途切れの環礁とその緑、そして空といった景色。
オーナー夫妻と話すと、景色は最高なのだけど、島の小ささや水事情の悪さ、そして退屈さに少しうんざりしているようだった。そうだなぁ、確かに旅行者として訪れるには、絶海っぷりも、たどり着くためのプロセスもこれ以上ないシチュエーションなのだけど、狭い島に寄り添って住んでいるような感があり、窮屈さは否めないな。ゲストハウスと言っても、実際の所は、長期滞在者の下宿みたいな役割かもしれない。
静かな南の島、ゲストハウスからの眺めは最高なのだけど、海から少しだけ突き出した山の頂上のような場所。気が滅入っても、エロスな気分がムクムクしても、この島の中でなんとかするしかない。島ではどうにもならないあれこれをなんとかしようとしても、船便は、月に2本か3本。その船旅は2泊かかる上、出られたところでまずはサモア。。。うーん、
それでも、絶海度からすれば同レベルなキリバスやツバルの離島に比べ、さすがのニュージーランド領。インフラ過多と言えるくらい必要なものはそろっている。
物資のバリュエーションや交通の不便さを除けば、家並みも何となく調和がとれており、風と波の音しかしないファカオフォはやっぱり贅沢な場所かもしれない。すれ違う人も皆笑顔だ。
手に入る食材を日本風にアレンジ振る舞ったりできるような調味料や包丁やら、そしてどっさり本を持ちこめば、快適かもなぁ。
ゲストハウスの近くで水を御馳走になったトケラ人のおばさんは、
「電気は通ったし、インターネットも通じてる。もう何もお願いできないわよね。」
だって。
ま、島の印象はそんな所。島でも大きな位置を占めているであろう協会の存在や、ニュージーランドと行き来するトケラウの半出稼ぎ、半移住者なんかと話したり、漁にお付き合いさせてもらったり、隣の島にある学校(メインの島に学校が無い)にでかけてみれば、更にいろんな事を知られるのだろうけど。
オーナー夫婦にコーヒーを頂いて、さっそく強風の中での釣り開始。。しようと思ったら、船が一緒だった女性二人と子供二人が、波打ち際で何か食べており、その切れ端をこっちに向け、「ローフィッシュ、食べなよ」と言われる。味付けは海水のみのトビウオを生でモサモサ食っていると、オーナー夫妻と数学教師が軽く引いていた。おーい、寿司は嫌いじゃないよね?
気を取り直して、釣り開始するもののこれまた風が強い。
リーフの切れ込みか、ラグーンの浅瀬なんかを丁寧に攻め、カスミが何回か追いかけてくるものの、バイトには至らない。シチュエーションが最高なだけに、強い風が恨めしい。風裏の波止場の岸際や、リーフの脇でハタの仲間を何匹も釣り上げるけれど、どうも釣りをした気にならない。まあ、そんなダレた釣りを昼過ぎまで続け、さすがに疲れて島の庁舎で葉書を買ったりしているとタイムアップ。そろそろ船がでるとのこと。
ファカオフォのあちこちで、自分が日本人だと言うと、
「アキを知っているか?」
と良く尋ねられた。今年、この島に3週間以上滞在された日本人の方がおり、その方が実に素晴らしい滞在をされたようで、
「ニューヨークから葉書が来たよ!ありがとうって伝えておいて!」
と庁舎の男性もおっしゃってました。トケラウの情報が少ないため、もうあの方だろう、とだいたいどの方か分かるので、まずはこの場をお借りして、「あんたは偉い!」と賞賛させていただきます。
波止場に戻ると、島からは、島からでたリサイクルゴミが積まれてゆく模様。南の島は、青い海と空、そしてゴミという三点セットお決まりだけど、ゴミ問題にニュージーランド政府は真摯に取り組んでいるのかな?もしそうなら、また少しニュージーランドが好きになってしまうなぁ。
- 2011.08.22 Monday
- ┣ トケラウ / Tokelau
- 04:35
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- by 運び屋
次はピトケアンに行かれるそうですね!私はまだ行った事が無い場所がたくさんあるので、これからもちょくちょくうらやましいなーと思いながらブログに遊びに来たいと思います。お体にお気をつけてー!