ナポレオンのお墓 / Napoleon's Tomb
ナポレオンのお墓 / Napoleon's Tomb
子供の頃読んだ何冊かの偉人伝シリーズの中に、「ナポレオン」もあったかと思う。高校では世界史を選考しなかったことが決定的だったけれど、偉人伝を読んでからの約四半世紀の間、セントヘレナに向かうことを決めるまで自分の目の前にも、背後にもナポレオンが現れたことはなかった。
出発前に慌てて読んだナポレオン伝のひとつは、フランス革命と、その後のヨーロッパという歴史的文脈の中で、ナポレオンと同時に彼の周囲の人物を描くような視座に立っており、どちらかというと手に汗を握るような臨場感やシーンは、ワーテルローの戦いを除いてはなかった。ま、それはそれで面白く。だからこそ、一気に読み上げたのだけれど、
ということで、なんとなく、時間があった割りにナポレオンナポレオンせず(ってどんなこっちゃ!)に、セントヘレナに着いてしまい、船が遅れたこともあって、島や港に降りたった感慨も無く、ナポレオンのお墓の近くに、これまたなんとなく車で運ばれてしまった。
島の道から少し離れてしまっているようで、その道から外れて下りて行く小径の先には小さなゲート。到着前に「大丈夫よ!」のメールを貰ったとおり、とっくに5時を過ぎ日が傾き始めているのに、ゲートが開かれている。
年配のドライバー、コリンズさんは、「雨で濡れているから気をつけて」と言って車に残る様子。小径を独りでトボトボと歩きながら、頭に浮かぶナポレオンを浮かべる。
やっぱり思い浮かぶのは、往年の名マジシャンコンビ?ナポレオンズ。マジックが得意のあの2人組。
パリかフランスのどこかで、いつものように冗談かましつつマジックを披露していると、「面白そうだねぇ」なんて言って、周囲の人や警官なんかが近づいてくるモノの、「ナポレオンズ」と自己紹介した所で、警察の態度が豹変。「ナポレオンを愚弄するのか!」と言って、しょっ引かれ、ぎっちり油を絞られる。。。というドッキリがあったなぁ。
なんでそんなこと思い出したんだろう。と思っているうちに、緑の谷の奥まった場所にナポレオンのお墓。
この島で死ぬことになったらここに葬ってくれと、ナポレオンが生前に定めたお墓は、緑おりなし、花咲くような場所。暖かい雰囲気の中に、ちょっと空気がピーンと張り詰めるような場所だった。
日本で山城巡りや山歩きをしていると、覆い被さる木々が途切れ、ぽかっと日が差し込むような場所があるけれど、そんな陽が当たる場所と、少し奥まった清水が漏れ出し、その脇にぽつんと小さな祠が祀られているような、なんだか近寄りがたいような場所、その2つを掛け合わせたような所だった。
ナポレオンを近しく感じるようなコレまでの人生でなかったこともあり、申し訳ないけれど、ここまで来たなぁというちょっとした感慨しか浮かばなかったのが正直なところ。
不敬罪で断頭台送りになるかもしれないけれど、ヨーロッパ旅行中に散々苦労して探し、ここまで一緒に長旅をしてきた「いいちこ」と記念撮影をしたりする。
その後は、ナポレオンが事実上の幽閉を強いられていた島の屋敷に向かう。高温多湿な気候がナポレオンの死期を早めたなんて言うけど、セントヘレナの高所は、湿った大西洋の空気がぶつかって、雲となり雨を降らすことが多いらしく、自分が訪れた時も屋敷ごと霧に包まれてしまうのでは?という有様だった。
遅くまで屋敷を開いて待っていてくださった、ガイドの方にエピソードを添えて、一部屋ごとに案内していただく。日本に帰ったらセントヘレナのナポレオンにフォーカスを当てた本でも読んでみようかな。と思った。
- 2012.02.28 Tuesday
- セントヘレナ・アセンションおよびトリスタン・ダ・クーニャ / Saint Helena, Ascension and Tristan da Cunha)
- 00:16
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- by 運び屋
意外と早く着きました。流石、英国。