セントヘレナ / St. Helena
セントヘレナ / St. Helena
宿に立ち寄ることもなく、身一つでコリンズオジサンの車に乗り込み観光を始めたのは、午後の5時過ぎ。午後7時過ぎには日没な上、島の高所は深い霧、というか雲の中に入ってしまい、正直、ナポレオンの屋敷を出る頃には、さっさと町に帰ろうぜ!バディ!…...で、こちらはまったく問題ない状態だった。
来た道をそのままとって返すと思いきや、仕事熱心なコリンズさんは、途中で来た道を折れ、「彗星の観測をしたハレーさんはこの山の上で」とか、「この先にも小さな集落があって」なんて言って、揺ったり車を走らせながら案内をつづけてくれる。
暗く細い道を縫いながら、「お墓に行ければ十分」だった島の観光は、総督の館、断崖の上の集落と要塞、要塞に続く699段の猛烈な階段なんかも加わり、ことのほか充実したモノに。最後に自分の所で観光バスにも使っている、1930年製のシェビーまで見せてくれ、不在で入る事のできなかった宿のオーナーに直接連絡を取ってくれ、最後までキッチリ面倒を見てくれた。
行き違いを殊更にわびるオーナーがこれまた親切で、島で食事が取れる場所を一つ一つ案内してくれ、翌日も出航の時間を気遣っていろいろ教えてくれた。
なんて思いながら、いい気持ちで晩ご飯。
中華レストランを語ってはいるけれど、首を捻ってしまうような、なんちゃってなお店だったけれど、アジア人のお客がよっぽど珍しいのか、フィリピン人の女主人がブッフェの料理を一から説明してくれたり、これまたフィリピン人シェフのお兄さんが、直々に巻き寿司を出してくれたりとこれまたハートフルな時間。
料理の内容は、お世辞でも「うまい!」なんて言えるモノではなかったし、レストランのメインホールで食事をしているセントヘレナ人のグループのカラオケもピントがずれていた。
でも、まあ長い旅人生で、もっともかけ離れた場所で頂く晩ご飯が、こういう微妙で、支離滅裂で、ずっこけているのこそ、自分に似つかわしいなぁとも思うそんな夜。
文字通りストップオーバーな滞在だった上、宿の久しぶりの常時接続のインターネットで、かなり夜更かししてしまい、翌日は朝寝坊。
結局、食事を終え郵便局との往復しているうちに集合時間。
まともな会話をしたセントヘレナ人は、運転手のコリンズおじさんと、宿のオーナーのコリンズおじさん(島の二人のコリンズさんらしい)だけだった。でも二人の気遣い、満足のいく島観光のアレンジといい、陽気で真面目なセントヘレナは好印象に始まって好印象の内に終わった。滞在が短かったのが心残りだ。
アフリカと南の島が持つ陽気さと、英国のキッチリした良い部分が駆け合わさったグッドクレオール(真逆なクレオールがカリブの一部にあるような気がする)な島!とセントヘレナを位置づけたい。できれば空港ができる2014or15年になる前に再訪したいなぁ。
ということで、短いセントヘレナ旅は終了。 この先は長い帰り道。
- 2012.02.28 Tuesday
- セントヘレナ・アセンションおよびトリスタン・ダ・クーニャ / Saint Helena, Ascension and Tristan da Cunha)
- 00:59
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- by 運び屋
しないよね!
わずかな時間にかすめ合う隔絶された人生のささやかな交点、みたいな絶海の孤島の旅。
へんな出逢いとへんな食事もまた忘れがたい記憶になりますね。
そういうのって、他者に説明もしにくいし、理解・共有してもらうのも難しいけど、こういう心地よい違和感みたいなものが連綿と続いて人は感性を鋭敏にしていくに違いない。
という感じで、3/8ヨハネスブルグ投函→3/12千葉到着、早っ!