アシュート / Asyut
アシュート / Asyut
アスユート行きのバスの出発時間は朝の6時。ホテルがダフラオアシスのバスターミナルの隣だったのが、ありがたい。
5時起きして、きっちりパッキングして6時前にターミナル。シャーイでも飲んで待つが。。まあ、来ないよね。エジプトだもんね。バスの代わりに現れたのは、朝からやる気マンマンの蠅。蠅だからやる気ブンブンか。
とはいえ、一応はスケジュールバス。3杯目のシャーイを頼んだ直後の午前7時前にバスが到着。7時過ぎに待ちかねていた乗客を乗せて出発。
砂漠に伸びるアスファルトの黒い道をたどり、ハルガオアシスでの小休止を挟み、午後1時半頃にアスユートに到着。
このアシュート(アスユート)、地球の歩き方に町案内の記載はなく、なんでだろとナイル中流域の諸都市の「旅のガイダンス」の項をめくると、諸都市の中に名前だけは、見つかる。
「ルクソールやその周辺の遺跡を観光する分には治安は問題ないと言っていいほどだが、それ以外の地域、特にルクソール以北のナイル川中流域では散発的だがテロ事件が発生している。」
「旅行者が巻き込まれる事はまずないが、警察は旅行者の移動を制限しており。。。」
なんていう記載の脇に。。。そんな理由もあって、触らぬ神にたたり無し。。とすぐにアスユートを去ろうと思っていたのだけれど、到着したバスターミナルでルクソール行きのバスチケットを買おうとすると、
「ルクソールへは、バスはないんよ。セルビスか鉄道だけ」
とのこと、そういえば
「都市内の自由行動は原則不可。都市間の移動も不可。」
なんて書いてあったなぁ。
けれど、アスユートにふらりと入ってしまった人はどうなるんだろ?バス停にヘリコプターを飛ばしてもらってルパンみたいに逃げ出すのかな?腑に落ちないままバスターミナルを出て、すぐ傍の鉄道駅に向かう。向かうしかないし。で、切符売り場でルクソール行きの切符をお願いすると、本日の特急は売り切れの様子。
ぬぅ、乗り合いタクシーでの長時間の移動は願い下げなので、明日のチケットをとり、駅前に宿を取る事にする。アスユート駅のエントランスを背にし、目に入ってくる「Hotel」の表記は三つ程。時間も昼過ぎだし、まずは問題ないだろうと、三つの看板のうちの一つに向かって歩き始めたら、そうそうに警官に止められる。
「どこへ行くのかい?」
「今日の特急が取れなかったので、アスユートに一泊します。」
「ふむ」
「あのホテルに泊まろうと思います。」
と、チケットをみせ、ホテルの看板を指差すと、すぐに「いってよし」のゼスチュア。まあ、こんなもんだろうね。警戒するにこした事はないけれど、このアシュート以上に物々しい雰囲気だけれど、町での自由行動はOKなんて町、今までいくらでもお邪魔してきたし。。ホテルのチェックインなども特に問題無し。
バスで町に入ってからコプト教会を見かけたけれど、その信者なのか、髪も隠さず、体にぴたっとした服を着て歩く女性がいる。そのあたりが特に気になったくらい。町の雰囲気は別段怖いという印象はない。
けれど、昨今のニュースのこともあって、コーヒーショップやらから流れてくる、演説のような、伝導のようなトーンの放送が、なんだか扇動的に聞こえてしまう。だから少し警戒気味に辺りを見回したり、声をかけられても顔も向けずにいなし、振り払うように歩いてしまう。
そんな気持ちで歩きながら、駅前の定食屋を見つけ、食事。店内をぼんやりとろうとしていた自分のカメラに向かって、コシャリを食べていた向かいのテーブルの少年が、
「ピース!」
食事を終えての立ち去り際、彼が「携帯で一緒に写真を撮りたいんだけど」とゼスチュアしてくるので、二つ返事してパシャリ。手を振って見送る。
しばらくすると、また少年がコーラを持って現れ、「おごるよ!」のゼスチュア。
現実逃避の成れの果てが無計画な旅をし、砂漠を越え、オアシスを巡って、情報希薄な町に辿り着く。辺りをうかがいながら一人で食事に出かけると、ピースサイン。出会いとコーラ、食いかけのコシャリ。
目の前のテーブルにコーラが置かれるまでのストーリーは、「ロストイントランスレーション」にはほど遠い、どちらかといえば「マッチポンプ売りの中年」の絵本にしてもいい内容。。なんだけど、見知らぬ町で、こういうことがあるとどうしてもキュンときちゃうあぁ。
エジプト最高!
- 2012.09.17 Monday
- ┣ エジプト / Egypt
- 00:03
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- by 運び屋