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周防大島 / Suou-Ohshima

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周防大島 / Suou-Ohshima

時間のゆとりがあったら、できるだけ歩いてみることだ。いろいろのことを教えられる。

これまた宮本常一の父、善十郎が故郷を去る息子常一に送った言葉。

今回は、珍しくお財布にはお金が入っているけれど、時間にゆとりがない。

といった旅だったので、レンタカーで大島をぐるり、山海の珍味をぺろりな旅にしようと思ったのだけれど、やっぱり甘くない。旅の神様は相変わらずスパルタな調子だ。

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まず、船で辿り着いた伊保田の港に何もない。

吉幾三の「ハァー」で始まる歌を思わず口ずさんでしまう。ハァー、テレビもねぇ、コンビニねぇ、商店ねぇ、レンタカーねぇ。。。。車を回送してくれるレンタカー屋さんがあるような心づもりだったのだけれど、島の反対側の町のレンタカー屋さん電話すると、箸にも棒にもかからないような対応。ふぅ。

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それなら。。と、見つけたバス停は、北海道や東北の山中に比べれば本数はあれど、一日4,5便、
2.5時間に1便といったところ。次のバスは2時間後の出発か。

あらら、これはまずい完全にまずい。この港、手ぶらの歩きで下船する港じゃない。予定を変更!柳井港まで船で行こう。。。。

と思ったが時、既に遅し。。。船は煙を吐きながら、スススと港を出ていってしまう。

やれやれ

携帯の地図で目的地、周防大島東和西方までの距離は約15キロ。まあ仕方ない。

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道沿いでおきた、あれやこれやを書いておきたいところだけれど、周防大島の東北の海岸線は、埋め立てで直線的になってしまい味気ない。海岸線から一本内陸に入ったかつての島の街道筋を歩いてみたけれど、深刻な過疎を覗き見しているような気分で、なんだかテンションが上がらない。

結局。。資料館まで3時間弱歩くことになった。。。

念願の島に来ているはずなのに、気分が上がらない。

宮本常一が残した島の景色、島の歩き旅は、点在する集落をつなぎながら、一休み。まさに津々浦々といった情景。それを長いこと思い描きながらこの島にきたのだけれど、現実はそう甘くない。民俗学の巨人が生まれた島だからといって、高度経済化世界の世俗化、一般化の圧力は容赦ない。

結局、気分の上がらないまま資料館まで歩き、資料館まで寸での所で、伊保田の港からのバスに追い抜かれた。

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ふぅ、アレコレでトホホな歩き道中だった。そんなこともあってか、宮本常一が愛用したカメラやバッグなどの資料、学芸員さんの親切さがカウンターパンチになって、ホロッと来そうになる。資料館には大きな書店でもなかなか手に入らない宮本常一の著作が豊富な上に、周防大島でまとめられた宮本常一「フィールドノート」、宮本氏のノートをそのまま装丁したような資料も購入できる。

濃密膨大なフィールドワーク、旅の軌跡にほんの少しだけ触れられたかな。計らずとも歩いてここまで来たことは、日本の習俗を徒歩で拾い集めた宮本氏の資料館へのアクセスとしてはわるくないかもしれない。

さて、資料館を後にして、

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幼少期の宮本氏が父や祖父とよく登ったという白木山をながめて歩き、旧東和町西方に到着。

が、集落から山に登る道にはいろうと思ったところで風を伴う霰まじりの雨。慌ててバス乗り場に避難する。白木山はあきらめるが、小振りになったので、辺りを歩く。下田八幡宮と西方公民館があるのでこの辺りが宮本常一氏が生まれた集落だと思うけれど、現在の海岸線は埋め立てで集落からはるか彼方になった上、護岸化され、沖にはテトラの消波ブロック。

生家は、冬の風が強い日には、潮が屋根に降ったという海岸線の御宅だったそうだったけれど、現在の海岸線は運動施設や道の駅になっている。

ぬぅ?ここが本当に?

なんて心配になるけれど、下田八幡宮近辺を散策ているうちに、息子さんご夫婦が今も住まわれている生家にたどりつく。明治になって姓を許された先祖が「宮本」姓を名乗ったのは、下田八幡宮に由来しているそうだけれど、まさに下田八幡宮のすぐ傍。お宅の前からは、八幡宮の森にあがる小径が伸びていた。

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普段は野良仕事、鰯が来たら浜に出る!という海と寄り添う瀬戸内のひとびとの生活に現在の西方の集落とは少し隔たりがあり、宮本民俗学のルーツに触れることができなかったけれど、最後の最後で、ご子息が丹精込めて育てた東和金時(サツマイモ)を、買い求めることができました。じんわり嬉しい。。

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代々受け継がれてきた宮本家の畑で育ったモノを手にできて大満足。

そのまま集落の定食屋で島料理を胃袋に詰め込むと、なんとなくバスの時間。

集落に辿り着いた頃には雨になって、そのあとすぐに夜になってしまったし、宮本民俗学の原点は心が躍るような景色が広がってるわけでもなかった。。。でも、バッグの中のお芋の重みや、まぶたの裏に浮かぶ、白木山の稜線は自分のもの。

ふふふ、今度は天気がよい日に、本州側からレンタカーで来るぞい。

コメント
島旅の不運も気力体力で充実感に変わりますね。

初めてコメントします。
ぶらりさんのHPからジャンプしてずっと前から
運び屋さんの旅を追っかけています。
ぶらりさんとはメルズーカの宿で会いました。

知らない土地、知らないことを体力のないばあさんが
追体験できて楽しいです。
  • ルソイ
  • 2013/12/04 4:44 PM
ルソイさん

ぶらり氏とも、時々食い道楽旅に出ております運び屋です!初めまして!

やっぱり旅は気力体力が一番というか大前提ですね。その次に、準備とお邪魔しますの気持ちでしょうか?

追体験できて。。。なんて言っていただくと、ブログがやめられないじゃないですか(笑)
  • 運び屋@三軒茶屋
  • 2013/12/05 7:51 AM
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