サバ島 / SABA
396メートルの滑走路だけ見て、飛行場で時間を潰して帰ろうと思っていたのだけれど、到着前の大絶壁とターミナルから見上げた斜面の家々を見て、飛行場だけではもったいないぞという気分になる。
定期的にコソ泥にバッグやら財布やらをかっぱらわれ、寝過ごして列車やバスや飛行機をミスりつつも、旅慣れたと言われる人間になったの、旅的感受性はどんどん摩耗してしまっている、アレな状態だったのだけど、このサバは「すごい」な、と純粋に唸ってしまう。
ターミナルにあるスナックバーのお姉さんにボトム(島の中心集落、政府庁舎などが集まる)までどう行くの?と尋ねると、正に出発しようとしている乗り合いタクシー(ハイエース)を指さして、「あれ!乗り過ごすと無いよ!」と言われる。迷わず乗り込む。
どうやら、ホテルに滞在するお客さんを空港でピックアップし、2軒ほど回りつつボトムに向かう様子なので、そのまま助手席に乗って島を簡単に散策したいのだけどと伝える。オヤジが「引き受けた」といった調子で頷く。
空港の駐車場を出るとすぐに九十九折りの道となり、飛行場がみるみる小さくなる。道路脇には石積みで平らかにしてようやくへばりつくような人の営みがあると言ったところ。ただ、生活水準は低くないという事前に得ていた情報通りで、家々はこぎれいに纏まって自家用車が各家庭に一台ずつ位もっている様子。空港からの九十九折りを上りきったところに協会を中心にしたひとまとまりの集落があり、そこからは、険しいモノのあまり高低差のない道を進む。しばらくすると、Windwardside/ウィンドワードサイドの集落。
道を設計した人のメモリアルそこで、カップルを降ろし、ボトムに向かう。この間の道も急斜面にようやく拓いたトレイルといった見晴らしはよいけどかなり険しい道。カラコラムハイウェー状態。大きな車同士はすれ違う事すらできないかと思う。
ボトムにたどり着いてホテルで残りの乗客を降ろす。どうやら小さな島のホテルでウェディングパーティーを行う様子。到着を待っていたコンサルジュがキッチリエスコートするようなしっかりしたホテルだった。
さて、残った乗客は自分のみ。改めて帰りの飛行機の時間を伝えると、簡単に車でボトムを散策して、Windwardside/ウィンドワードサイドに戻り、そこで軽く散歩して空港に行こうと言う事になる。
カシューナッツの木
島の産業は、政府関係、観光、漁業といったところで、人口は2,000人。そのうちの400人は島にあるアメリカの医科大学の学生だそうだ。教会と政庁舎が集まる建物なんかを見て回り、サバ医科大学の中を軽く車で流してもらって、「」に向かう。
鯖烏賊鯛、変換を間違えると寿司屋の湯呑みみたいになってしまうね。
ま、いいや。
冗談はさておき、町を案内されているうちに何処から来た?という話になって、「日本」と答えると、なんだか会話がギクシャクしてしまう。自分がそういう対応されるのに身構えた空気を出してしまっている事もあるからか、陽気なオッサンなのに、会話が流れずに途切れてしまい、「本当に大変な時だな」「言葉がないよ」なんてことを言われてしまう。
なんだか会話が途切れ途切れになって、Windwardside/ウィンドワードサイドに向かう。断崖絶壁の山の上の集落が見えたところで、「こんな山の上なら津波が来ても大丈夫だね。」と言うと、「ここまで津波が来たときは、世界の終わりだよ。」なんて話す。少し和む。Windwardside/ウィンドワードサイドにたどり着き、30分ほど時間をもらって近くを散策に出る。
ウィンドワードサイドの集落。
よくもまあ、こんな所に住んでいるなぁというのが正直な実感で、それ以上に何かを感じたか?というとあまりそういうモノはない。一泊しても良かったなぁと思うけれど、崖系高度恐怖症な自分にはとても住みたいとは思わない。
時間になったので、同じ飛行機に乗る二人のフランス人をピックアップして、空港に向かう。到着前に飛行場の見晴らしの良い場所で降ろしてもらい、少し写真を撮ってからターミナルに向かう。3時間弱のサバ観光はおしまい。