さぁ、行こうぜ!
社会人としてうまく立ち回れなかったことやら劣等感、つもりに積もったルサンチマンを執念や執着に置き換えたお空の旅、国巡りの旅、マイル稼ぎ旅はおしまい。まだまだコレからも飛行機には乗るし、海外にも出かけるし、LCCの安いチケットにも反応してしまうだろうけど。旅を何よりも優先する生活は御終い。
執着したからこそ見えたものや味わえたものもあったし、衝撃的な経験もした。心中に刻まれた鮮やかなあれこれは忘れがたい、けれど、その経験を更に更に!という気持ちは涌き上がらない。少し寂しいけれど、行きたくて焦がれてしまうような場所や国がもうない。そんな、仕事や生活を放り投げての長い一人旅はもう現実的に厳しいという、今の状態。そして、それはそれでいいと感じる自分がいます。
万が一に、旅に割ける時間やお金が空から降って来たとしたら、落ち着いて訪れたいなぁ、なんて町は人並みにあります。でも、今はそんなことより、近所のお城巡りをしたり、近くの海で釣りをしたり、二三日時間が取れるのなら、四国まで進んだ歩き旅を焦らずに前進させる方を優先したい。目的至上主義に傾斜して、ひとりぼっちになってしまうのは、嫌いじゃないけれど、十分味わったので、ごちそうさま。もういい。
今考えると、最難関な国を極力優先して、安全だけれど遠い国なんかをとっておけば、最後のフィニッシュに嫁さんと一緒に行けて、味わいたかったもの、見たかった絶景を二人で楽しめたかなぁなんて思い、それだけがちょっと心残り。
旅は素晴らしいし、かけがえの無いことを手にするきっかけになるとは思う。旅をして良かったとはもちろん思っているし、旅に明け暮れた30代があったからこその今の自分があって、友人や家族がいる。けれど、生活を捨ててでも旅をしなよ!と「旅側」に他人を引きずり込んだり、若いうちに、死ぬまでに、あの世界遺産だけは見ておけよ!なんて喧伝する気には更更なれない。僕の人生で本気でどっぷり浸かるコトができたのが、たまたま「旅」だっただけだ。そしてそれもほんの10年。いや濃密だったのはその中の数年だ。
旅やら人生やら生活のことで、もし相談されるような機会があれば、「旅」を含めたその人が好きなことやら夢やら、森羅万象の何か一つにとことん執着し、フルパワーで向かい合ってみては?と言うかな。言う資格はないけれど。旅でなくてもいいということを伝えたい。ピカピカの絹でも、ボロ切れでも、使い古しのパンツでも、ゴシゴシ丹念に「フルパワーで」磨けば、君の人生は輝く!
なんつって。
いやいや、これからしっかりしなくちゃいけないのは、かくいう自分です
さぁ、いこうぜ!