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豊島 / Teshima

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豊島 / Teshima

「てしま」と読む。「としま」ではない。

芸術祭のガイドブックでレンタサイクルがオススメとあったけれど、大正解。芸術祭期間中のバスの運行は決して不便ではないけれど、レンタサイクルのおかげで気持ちよい島旅になった。島の入り江や平地に点在する集落は起伏のある道で結ばれているので、電動アシスト自転車で回りましょう。ヒルクライムなんかが好きなサイクリストは、マイ自転車でゴリゴリ登攀、滑空?してください!

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豊島は、芸術祭に併せた展示や作品がことごとく「オモシロ」に溢れているのに加え、この島のメインとも言える「豊島美術館」がもうクラクラするくらい素晴らしかった。

芸術系島旅したからと言って、現代アートなんてシロモノと自分の距離は縮まらないのだろうけれど、作品に触れ(作品の中に存在し?)ながら沈思したり、周りにいる人がどんな気持ちでいるのだろうと表情や様子にも見入ってしまう。。。なんていう経験はこれが初めて。なんだか無性に手塚治虫の火の鳥が読みたくなった。

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天気は時折小雨がパラついて、サンシャインのない豊島だったけれど、今回の芸術島旅では、豊島が一番。

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夜は、芸術祭を影から日向から支えるこえび隊の寮にお邪魔し、空港から港まで案内してくれたゆらみち夫婦や隊員の皆さんと楽しいお酒。
 

小豆島 / Shodoshima

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小豆島 / Shodoshima

アートを楽しみつつ、汀でチャプチャプ。。。。犬島では、そんな贅沢な時間で丸一日を過ごそうかと思っていたけれど、あいにくの雨。一通りの作品を見て、予定を変更しようか。。などとおたおたしているうちに直島に向かう船は満席になってしまった。

状況を説明すると、犬島の芸術祭のスタッフの方は、「高松への便数が豊富な小豆島に空席のある高速船で向かい、雨の様子を見ながら観光されては。。。」と提案。なるほど。。。と思い、大きすぎて今回はパスする予定だった小豆島を、ちょろっとだけ芸術旅する事にした。

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午後の限られた時間で訪れたのは、島の内陸に分け入った谷間のスポット。島にいる事を忘れてしまうようなボリューミーな山の中に作品があったり、棚田が展開している。息を切らせて急な畦を登り、棚田を見下しながら、

サラリーマン時代の研修で、「世の中、コスト&パフォーマンス。これしかありません!」なんて宣っていた講師の自信満々の表情をふと思い出す。目の前の棚田で稲作するのは、コスト&パフォーマンスの対極だな。。。なんて

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転びそうになりながら棚田を下り「こまめ食堂」に立ち寄る。棚田で作られたお米がそのまま握られた「おむすびセット」をお願いする。その美味しいこと。それに比して値段の安い事ったら。。。この値段で、このお味。。。

あ!

。。。。

小豆島は、瀬戸内というより里山な芸術旅だったけれど、増水した川を越えて辿り着いた台湾人作家さんの竹の作品や、光ファイバーを駆使した傑作など、グッと来るものも多かった。

犬島で、小豆島はどう?と提案してくれたスタッフの方に感謝したい。

犬島 / Inujima

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犬島 / Inujima

二日目は、一日目に訪れた直島を経由して犬島に向かった。高松からの直行便はなく、アクセスは時間的にも金銭的にも結構だった。それもそのはず、犬島は人口50人の限界集落といっても良い小さな小さな島で、四国香川側というより、本州岡山側の瀬戸内の島。高松から直行便を就航させてるような場所でも、サイズでもない。

ヒョコンと尖っているようなルックスをしている島が瀬戸内には多いけれど、そんな島々と比べると、犬島は田圃の中にフワリと浮かぶ防風林が少し大きくなったくらいしか、海から姿を現しておらず、なんだか頼りない。。。元の犬島はどんな形をしていたのか分からないけれど、大坂城の石垣にもなっているという良質な花崗岩を産出した島は、切り出しと積み出しを繰り返しているうちに、島の山が削られ形が変わってしまったそうだ。

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花崗岩の産出で近世の巨大建築を裏から支えた犬島は、明治の殖産興業期、原料搬入と製品搬出の利便な点から注目され、銅の精錬所が建設される。が、製錬所は銅の国際価格下落のあおりを受け、10年と経たないうちに閉鎖される。。。

そこで島の歴史は止まり。。。製錬所は廃墟と化したそうだ。

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頼りなげな島のルックスに、不釣り合いな製錬所の溶鉱炉の煙突の組み合わせは、なんだか沈みかけた船のようにも見える。

芸術祭がなければ、まず訪れる事はなかったであろう犬島から「芸術」分を取り除くと、こんな説明で片がついてしまう。

けれど、21世紀になって、放置されていた島の製錬所跡地は美術館として利用されるようになり、過疎化が進んで空き地や空き家となったスペースには芸術作品が置かれ、島のグッドサイズさなども相まって、芸術祭中は、島ごと美術館のようになっている。

芸術の良し悪しは、引き続き語る事ができないのだけれど、この島で見た作品は「面白い!」とか「ふーん」と、直感的に楽しめるモノばかり。作者/作家さんの意思や主張を正しく汲んでいないのかもしれないけれど、素直に楽しめた。

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犬島だけに、島を去る間際。。

わんダフル!オンリーわん!と言っちゃいましたよ。

直島 / Naoshima

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直島 / Naoshima

台風が近づいている事もあって、滞在中の天気予報への期待はあまりできなさそうで、到着日が瀬戸内芸術祭旅の中で、最初で最後の晴れの日になりそうだった。そんな状況を察した友人は、予定していた午前中のうどん食い倒れツアーを中止し、空港から港まで急行してくれた。高松港に到着したのは、直島へのフェリーの出港15分前だった。

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芸術は分からないし、人出も多かったけれど、素直に「面白い!」と感じた作品があって、何より美術館や出展された作品を辿っているうちに島の文化の一端や、護岸されていない水際にアクセスできてしまうのが素晴らしかった。

僕みたいなのに作品をああだこうだ言う資格は無いけれど、直島の海岸線は本当に気持ちがよくて、「絵になる」ってのは自信を持って言えるかな。。

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芸術祭が終わった閑散とした直島に、LCCと青春18切符を駆使して再訪しようかな?

伊豆の島々とは経路も毛色もまったく違うけれど、瀬戸内の島もいい。

八丈島 / Hachijo-Jima

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八丈島 / Hachijo-Jima

寝相が悪かったりすると海に落っこて、どっかに流される。。。なんてのは大げさだけれど、島めぐりの旅、それも絶壁に囲まれているような島の旅というのは、心の隅っこに落ち着かず、一抹の不安のようなものがつきまとうもの。青ヶ島は、まさにその典型のような島だった。

そんな島旅だったからか、八丈島に戻ってまず感じたのは、島のどっしりとした安定感。青ヶ島を去る時に感じた、小舟から大きな船に乗り移るような感じはない。青ヶ島から戻ると、八丈島は堂々たる陸地どころか、大陸の隅っこにいるような安定感すら感じる。この島に住んでいる限り、酔っぱらって海に落ちてサメの餌になる事もないし、便器に海水が逆流してくる事もない。レンタカーや宿や商店には競争があって、手に届く所に一通りのものが揃っている感じがする。(一部虚偽あり)

台風の直撃さえなければ、船の欠航も少ない上、一日三便のジェット機の運行しており、八王子のはずれなんかに比べたらよっぽども便利かもだ。

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ま、でも島旅している時に、便利だ便利じゃない。。なんて書くのは相当に野暮なのだけれど。。。

そんな安定感や利便性云々はさて置き、一応八丈島に戻って来た事で、東京に戻れるか戻れないか問題は一応解決した。船で青ヶ島への往復できた上、八丈島の宿泊はこれまた底土港のキャンプ場。財布にも余裕ができた。。。ということで、さくっとレンタカーを借り、島寿司とくさやで青ヶ島からの帰還を相棒と祝した。

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キャンプ場に戻っても、気持ちよいバイカーらと意気投合して、馬鹿話に興じ、最高の夜になった。

翌日は、八丈富士に向かう友人の留守番だったけれど、島の釣り師とその弟子の語らいに混ぜて頂いたり。。〆は見晴らしの湯で、帰りに宇喜多秀家のお墓でも手を合わす事ができた。。

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ふう、10年以上ぶりの八丈島だったけれど。。。

夜更けの竹芝から出るフェリーにザック一つで乗り込んで、ビールを飲んで一眠り、起きたら豪快な島景色が広がる港。すぐ傍に無料のキャンプ場。。。なんて奇跡な島だった事を知っただけでも大きい。東京都民にとって、伊豆七島ってのは、まさに灯台下暗し。。かもしれない。

北風が吹く前に、御蔵島なんかにも行ってみたいなぁ。。

* この旅が終わった直後の台風で、伊豆大島がたくさんの犠牲者を出す災害に見舞われました。被災された皆様には心よりお見舞いを申し上げます。

青ヶ島 おまけ / Aoga-shima …addition



青ヶ島 おまけ / Aoga-shima  …addition

サウナ施設の休憩所に、青ヶ島の村報のようなものが置かれていて、読んでいると島の選挙結果の記事。

おお、島には有権者が138人いて、村議会議員が6人。。。菊地サンが多いな。。。でも、15人くらい志を持った有権者が島に移り住んだら、一人くらいは村議会議員を送り込めるかもしれない?

この結果を見て、外国人有権者問題などを思い起こす方もいるだろうけれど、この投票数の少なさは、否が応でも投票者個々人が投票者数から透けて見えてくるなぁなんて思った。

島の慣習なんかもあるかもしれないけれど、投票結果を見れば、一票の価値が個々人の政治参加に直結していて、投票の意義が本土の自治体のソレとは全く別物なのは明らか。この島では、選挙の時だけ政治参加したりするフリなんかできないし、任せて安心もない。任せて少しでも駄目だったら野次る側にまわるなんて事も当然、許されない。

なんつって。。。

島の人とはほとんどコミュニケーションできなかったけれど、小さなコミュニティー/共同体というもののリアルを見せてもらった気がした。

この島にだって、集合的不条理、格差や矛盾はあるだろうし、投票者の少なさ故の厳しい事情もあるだろうけれど、台風や大風で、生活物資の供給を断たれたりする島の生活や未来をどうするか?なんてことを目の前にあるリアルに考えながら、投票用紙に候補者名を書くのかなぁ。。なんて思った。



 

青ヶ島 その4 / Aoga-shima (Blue Island) 4

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青ヶ島 その4 / Aoga-shima (Blue Island) 4

大凸部に登って、ひんぎゃで芋を蒸かして夜空を見上げたのなら、島でやり残した事は、直径1.5キロメートルのカルデラ(池之沢火口)の中の「丸山(別名オフジサマ)」の散歩ぐらい。中央火口のお鉢巡りは、キャンプ場の脇から散歩道が伸びている。

世界でも珍しい地形とはいえ、南の島の植物の生命力が旺盛なので、歩道の両脇はもっさりと茂るジャングルな有様。ただ、藪漕ぎも覚悟したけれど、遊歩道はキッチリ整備されており、草刈りした方にお礼をしたくなるくらい歩きやすく、ほんの小一時間もあれば十分歩ける道だった。

また、大凸部から見下ろすと、プリンのようなラジエターのような凸凹した山だった丸山のルックスは、実際その場を散歩して歩いてみると。。。

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裾野から頂上に向かって10メートル毎ぐらいに、若い木、大人の木というように順番にの植林?され、その樹齢ごとの木立の力強さと繁茂の濃さが凸凹を形作り、プリンのようなルックスにしているのが分かる。だからなんだと言えば、なにも返す事ができないけれど。。。

散歩が終わって、「ひんぎゃ」でまたまた暖めたジャガイモを食べ、今回の青ヶ島旅は終了。

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まさかのヘリコプター旅に備え、強力PEラインをケチって、細いラインでトライした青ヶ島/三宝港でのジギングは、ヤガラやベラは釣りあげられるものの、アジ系のパワフルな走りには全く歯が立たず。。。ギュウィーーーーーン、バチン!

ああ、島旅では、相変わらルアーをガンガン持ってかれる釣りだなぁ。。。。。

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カンパチが入る季節なようなので、その小型のシオッコ(40Cmくらい)だったかもしれないが、せっかく、せっかくの青ヶ島。その最後の最後なんだから。。。釣り上げたかったなぁ。

青ヶ島 その3 / Aoga-shima (Blue Island) 3

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青ヶ島 その3 / Aoga-shima (Blue Island) 3

島の中心部から散策がてらキャンプ場に戻ると、太陽はカルデラのリングの彼方に消えてしまっている。

ギラギラな陽光はキャンプ場に届かない。島に居ながらにして日の出と日の入りを楽しめないのが、この島の池之端と呼ばれるカルデラ内の寂しい所だねぇ。

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さて、荷解きし、早速楽しみにしていた、「ひんぎゃ」料理に取りかかろう。

「ひんぎゃ」

「ひんぎゃ」とは、カルデラの地中に棲む、体調40センチくらいのモグラに似た有袋類。

地中に埋めた篭を巣穴と勘違いするらしく、簡単に捕まえる事ができる。で、この「ひんぎゃ」の丸焼きがめっぽう旨い。。

。。。。というのは嘘。

「ひんぎゃ」という言葉は、火山島「青ヶ島」の島言葉。火山からの蒸気が吹き出ている場所”火山噴気孔”のこと。

島にはいくつかある「ひんぎゃ」は硫黄や有毒ガスを含んでおらず、有益な熱エネルギーとして活用されており、島の数少ない特産品の一つでもある「塩」を製塩したり、サウナ施設の熱源などにも利用されているのですが、島のキャンプ場周辺はこの「ひんぎゃ」が集中し、蒸気を上げている場所と隣り合わせていて、ここの「ひんぎゃ」では、食材の調理もできてしまう。

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青ヶ島を訪れる旅行者達にとって「ひんぎゃ」は、蒸し、いや無視できない島のアトラクションになっており、キャンプに宿泊した旅の先達の皆さんは、ジャガイモやら島名産のサツマイモ(島の人は略してサツマという)を蒸して美味しく喰らっている様子。

ぜひともこの料理を試してみたい。。と、

竹芝桟橋に向かいがてら、美瑛の芋やカボチャを交通会館のアンテナショップで買い求め、味の決め手のバターを木曽の開田高原から取り寄せ、ご飯にかけるおかずは、神戸の世界料理レストラン「Palelmo」さん自家製の、アメリカ南部料理/ガンボにミャンマー料理/チェッタアールヒンのレトルトを準備した。ぬふふ。

キャンプ場近くには、鍋ごと暖めてしまえるような箱形のオーブン式ひんぎゃ(仮称)と、オーブン式よりパワフルな噴気で一気に蒸かす、直噴式ひんぎゃ(仮称)の二つがあり、暖め程度ならオーブン式、野菜の蒸かしには直噴式がオススメ。

調理時間の見極めは難しいけれど、グズグズにならない品種のジャガイモ(約20分)なんかが良いようで、カボチャとジャガイモ2種、タマネギを蒸かしたけれど形の崩れにくい「インカの目覚め」がベスト(ジャガイモは崩れてしまい、タマネギはグズグズになってしまった。。調理時間注意!)でした。

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グダグダとキャンプの支度をしているうちに暗くなってしまい、ヘッドライトで照らしながら「インカの目覚め」にもっそりとバターを塗りましたが。。。

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もう絶品。。ヘッドライトを消せば、カルデラで縁取られた夜空に星星星。

絶海の孤島なのにも関わらず、海が一切見えないカルデラの底のキャンプ場ですが、いろんなモノがが詰まっておりオススメです。

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サウナの管理人さんや、軽トラでヒンギャ利用やサウナ利用にやって来た島の人ともお話しできて楽しいですよ。

あ、島のサウナ/風呂は300円ですが、キャンプ施設の利用自体(要登録@村役場)は無料です!

青ヶ島 その2 / Aoga-shima (Blue Island) 2

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青ヶ島 その2 / Aoga-shima (Blue Island) 2

アボガドを半分に割ると、中に大きな種が入っていて、その種を取り除くと中にぽっかり凹みができる。この種を取り除いたアボガドが青ヶ島の形に似ている。

凹みの底からカルデラを上りきって少し走ると、民家が現れ、更に少し走ると、かっちりした建物が集まる、島の中心集落の更に中心部らしき場所になり車が停車する。のちょっとしたお礼を差し上げ、送って頂いた車が村役場前から遠ざかると、中心部とはいえ、風の音しか聴こえない。ぶうう。

断崖の上に広がる傾斜地に、こじんまりとした庁舎がたち、その周辺にまばらな住居。平日なのでみなさんお仕事や農作業に出られているのか、ひっそりしている。

空気が澄んでいると八丈島も見えるそうだけれど、彼方の水平線は空と混じってぼんやりし、静けさを際立たせる。ふぅ、今立っている中心部は海抜250メートル以上あるから、新宿の高層ビル群より遥かに高いんだねぇ、直下の海岸で、弾けているはずの波音はもちろん届かない。

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集落も静かだけれど、果てしのない海原の広がり、平らかな静謐さもなかなか圧倒的で、は、静謐なっている。

そうそう、

新宿で思い出したけれど、島の人口は170人くらい。170人は、隣の人に触れないくらいに混雑した車両に乗っている人くらいらしい。B737-800(ちょっと長めのタイプ)サイズの飛行機をチャーターすれば、えいや!で村民全員が乗ってしまう事ができる。島には飛行場がないけれど。。

1学年の生徒が丁度、この青ヶ島くらいの高校に通っていたけれど、この物覚えの悪い僕でさえ、学年全員の名前を、卒業する頃にはほとんど覚えられていたから、厳しい環境で支え合っている島のみなさんは、お互いを誰だか分かっている間柄だと思う。裏を返せば、ふらりと現れた旅人の、AWAY感、よそ者感、異邦人感は強い。ま、気持ちの持ちようだけれど。

役場で頂いたかわいらしいマップを片手に相棒と歩く。

http://www.vill.aogashima.tokyo.jp/tourism/syuraku_map.pdf

中心の集落は予想以上に小さい。

地図を見て、少し歩くかと思った島の商店に、あっという間に着いてしまう。

昨日今日と還住丸が就航しているからか、並んでいるモノは意外と豊富で、過度な島価格が設定されているような感じも受けない。散歩するのにもう少し食料が欲しいねぇと思っていると、「八丈島のパンがあるよ、おいしいよ」と、心のうちを見透かすように店のおばさん。

手にしかけた美味しさ長持ち系パン(田舎の小さな食料品店ではお馴染み長期保存パン)を元に戻して、八丈島のパンを手に取ると、ほんとだ、なかなか美味しそうなパンじゃない。なんだか焼き上げた暖かみすら残っているような気がする。

ぬは、船で届いたのか、ヘリコプターで届いたのか分からないけれど、八丈島からパンに先回りされてしまったなぁ。

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海上から、見上げるような場所にあった草っ原の「ジョウマン」あたりを散策してから大凸部を目指す。切り立った尾根を歩かされるかと思ったけれど、集落から伸びる、木立に囲まれた小径がそのまま整備されたハイキングコースになるような感じで、非常に歩きやすい。左右の木立が鬱蒼としており、頂上からの見晴らしが心配になったけれど、杞憂。

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辿り着いた頂上は、角の取れた三角点の標柱があり、見晴らしのよい展望台になっていた。

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見事な見事なダブルカルデラ。トンネルからカルデラ内部に入った時ももちろん感動したけれど、青ヶ島に行きたいなぁ、行ってみたいなぁという衝動に、ダブルカルデラな景色は応えてくれた。
 

青ヶ島 その1 / Aoga-shima (Blue Island) Vol.1

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青ヶ島 その1 / Aoga-shima (Blue Island) Vol.1

群青色は英語でultramarineだけれど、深い海から屹立した青ヶ島のような断崖絶壁の島は、たいてい濃い青、群青の海に囲まれている。透明度が高くて深い海に強烈な光が射すと、こんな色になるのだろうか?いや、黒潮が直接ぶつかる島だから、こんな色なのか他より濃い青なのだろうか。。

特別な事情がなければ、見上げるような島の絶壁は、容赦なく海の中まで落ち込んでいるはず。板子一枚下は(千尋)の地獄なんていうけれど、あっという間に海底が見えなくなってしまう岸壁に立って覗き込む方が、船に乗っている時なんかより、よっぽど恐ろしい。

さて、たどりついたぜ青ヶ島!その玄関口は、現在では島の唯一の海上アクセスとなっている青ヶ島/三宝港。港は、背後の断崖を固めて港のエリアをまず確保し、島から短い突堤を一本、自然地形の頼りない岬を造作して確保した船だまりが一つといった全容。

港の沖合には防波堤のようなものは一切ない。沖合に防波堤を作る事が不可能か、可能でも島のサイズに見合ったインフラ整備でないのだろうと思う。H鋼を打ち込んでも、嵐になって、波濤を受けると、飴のようにひん曲げられてしまうと言う。それでも負けじと、港湾整備は粛々と進められている様子。その場所にいると、大型機材でぎゃんぎゃんやっているようだけれど、大海原と島の絶壁と比較すると、ニンゲンの営みというのは頼りないというかささやかというか。。。クライマーがポータリッジ(絶壁テント泊/休憩)する写真をなんとなく思い出す。

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離島というのは、管理人とその家族、メンテナンス業者しか住んでいないマンションのような状況になってしまいがち。人口170人程度の島に大型クレーン車があるが、人口15万ちょいの東村山に90台の大型クレーンがあるだろうか?

いや、意外とあったりするかもね。。

島で感じたインフラ過多や、建設事業者の多さ云々はこのあと一切書かない事にする。そもそも、青ヶ島と対照的な東村山のような、街の景色を30〜40年ごとにゴッソリかえてしまう郊外型スクラップアンドビルドな都市で生き死にする人、更に更に対照的な東京の世田谷のような、超過密で便利だか便利でないのか分からないような街で暮らす人、そして島に住む人。どちらがバランスが取れているかどうかなんて誰も判断できないのだから。

「隣の芝は青く見える」というのは、「隣の芝は黄色であって欲しい」なんだから。そういったギャップみたいなモノが最終的にアートや文学、ピープルズパワーに旅心に繋がるのだから。。

おっと、話がそれた。。

さて、そそくさと積み降ろし、積み込み作業を終えた還住丸が島を去ってゆき、宅配便、ゆうパック/郵便、販売用商品、事業用資材、作業用車への作業員の皆様も港に横付けされた軽バンや箱バンに積み込み、迎え入れられてゆくと港は急に静かになる。

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さて、キャンプ場まで歩きますか。。。なんて、相棒と気合いを入れていると。。。

「キャンプかい?乗ってく?」

とのお声がけ。心のどこかで「お声がけ」を期待していた厚かましさや、安堵などが入り交じった気持ちになるが、声をかけてくれた方(お仕事中なので、特定は避けます)の「入港出港が終われば、特に何もないからさ」なオーラの発散にいくらか気持ちが楽になる。

車に荷物を詰め込み、港から延びる道を上がってゆくとすぐにトンネルになる。

そして、トンネルを出る。

船からのアクセスで島に渡った人は、三宝港からのトンネルを抜け、顔を上げた瞬間が、島一番のクライマックスになるかもしれない。トンネルを抜けた先は青ヶ島カルデラの内部になる。300メートルオーバーのギンギンの崖に囲まれたカルデラ内は、ジャングルの奥地に迷い込んだようで、群青の海に囲まれた島にいることを忘れてしまう。

トンネルから青ヶ島内部にアクセスすると、排水管を伝わって、水抜き栓から浴槽に出て来たような感じと表現しても、決して大げさではないと思う。

程なくキャンプ場に到着。ささっと荷物を下ろして放置。

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再度、車に乗り込んで島の景色に感嘆したり、どんな生活を送っているのかズケズケと質問していると、これまたなかなか見かける事のない、つづらな道がカルデラの崖上に向かって見える。崖の直下に辿り着くき、張り付くようにギアを落とした軽自動車はでうなりを上げながら上ってゆく。

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